2018年9月7日金曜日

近江ペンの会

 近江ペンの会の大塚篤子です。このたび(7月)に当協会のサークルへのお許しをいただいたので、ご報告させていただきます。
近江ペンの会は2013年4月に発足しました。主に滋賀県下で子どもたちのためにすばらしい文化活動をしている「すずめの学校」の有志と、子どもの本が大好きな人々が集まりました。
 例会は基本月一回、第4土曜日の13時30分から16時くらいまで、滋賀県長浜市の古民家で開いています。それぞれメンバーが提出した作品を全員で読み合い、意見を出し合い、合評しています。作品の良し悪しだけでなく、どうしたらもっと子どもの心に届く作品になるか、もっとちがう展開はないか、作品中のどういう表現がすばらしかったかなど、意見を出し合って、作品の完成を目指しています。
 今までに作品集『四角いたまご』1号、2号を発刊し、年に一度の特別勉強会では、講師の先生(野村一秋、沢田俊子、竹内もと代)に来ていただいて、有意義なすばらしい経験をさせていただきました。昨年の6月には、他グループとの合同合宿を一泊二日で行い、大いに盛り上がりました。


2018年8月25日
出席は10名、この日は3作品について意見を出し合いました。

「ワラビ目、ゼンマイ目」
 タイトルが意外性があって面白いという意見があった。ただ意外性がある場合、作中で説明、または読者に納得させる必要がある。この作者は今までに、里山で暮らすさまざまなこと(たけのこ掘り、梅の収穫、ぎんなんの危険性、オニグルミや山菜採り)に焦点をあてて、書き続けています。テーマがしぼられて羨ましいという声がたくさんあがりました。とても地味なテーマだけど、今の子どもたちに伝えていきたい作品です。
 ただ「割山」など、大人も知らないこともあり、自分がわかっているだけでなく、だれにでもわかるように書く必要があります。

「プンプン王様」
この作品は未完成で、合評作品としては反則だけど、その先をみんなで考えてみようということで、取り上げました。
プンプン怒ってばかりの王様の話で、これは子どもたちが喜びそうなお話だという意見が多くありました。
   もらったマントはどうする?
   後継者?
   王様をどこかに連れていく?
などなど、たくさんの意見がでて、作者は得をしたか、混乱したか。続きが読みたいです。

「ぼくはジェントルマン」
この作品はフットワーク(リズム)がよく、勢いで最後まで駆け抜けてほしい作品。甘くならずクールにといわれて、何度も書き直した根性はすごいです。今回はなぜジェントルマンなのかというところで、みなの意見がわかれました。このように、とくに筋にはかかわってこないけど、とても重要な要素があります。おろそかにしないことで、作品に説得力がでて、厚みが出ます。

 4時閉会。暑い中にも日脚だけは伸びて、季節は動いていると実感しました。


                                大塚篤子



2018年9月4日火曜日

とんとんぼっこ

8月25日土曜日 

昨年秋、東京都練馬区の「練馬パンカーニバル」というベントで、パン屋さんと絵本「パン屋のイーストン」(巣山ひろみ 文 佐竹美穂 絵 出版ワークス)がコラボしました。このときにクレイアニメ作家の山田優子さんが監督・制作された「パン屋のイーストン」のクレイアニメが第17回広島国際アニメーションフェスティバルの会場で上映される、というおしらせが届きました。広島国際アニメーションフェスティバルとは、2年に一度、広島市で8月に開催される映画祭で、世界4大アニメーションフェスティバルの一つだそうです。  
 上映はちょうど合評の日。実際に見ることができるめったにないチャンス! 合評の前にみんなで観に行くことにしました。
そして、この会場に行くのに都合のよい経由地が横川。児童文芸8・9月号「県別ちょっといい話」に書かせていただいた町です。せっかくなのでおすすめスポットを駆け足で
巡ってから会場へ向かいました。
散策、鑑賞、合評と、盛りだくさんな一日となりました。

合評作品は、6作品。
さいごまで書ききれなかった長編作品は、現時点での問題点を洗い出すことと、
構想している結末でよいのか、どう描くべきか意見が出ました。
競技のトップをねらう男の子の物語は短編とは思えない読みごたえ、用語や表現が多少難しくても、その世界が面白く描かれて言葉の難しさが気にならないと言う意見がほとんどでした。
以前書いたものを登場人物構成ともに書き直した10枚の作品は、前のものが印象的だったという意見もありましたが、今回のアイデアのよさがあるので主人公があやふやになっている部分をはっきりさせてまた書き直すことに。
短い物語だったものを構成を変え50枚程度をめざして書きなおしたものは、自然の厳しさを描いて、ぐっと深いものになりました。視点のぶれが多いところが指摘されました。
6枚の子ども目線の物語、子どもらしさを感じる内容、構成と文章をもっとシンプルに。
木の名前にヒントを得てことばのリズムと遊びを描いた絵本テキストは、どうすれば、ことばの遊びを生かしていけるか、いろいろな意見が出ました。
 書き直し作品については、大胆に描き直されたものが多くなってきたように思いました。

次回のとんとんぼっこは10月27日土曜日です。
                               
                                (さとうともこ)