2019年9月19日木曜日

わらしべ通信

【わらしべ通信 NO.79】

9月15日
関東にて台風15号の被害に遭われたみなさまに、心よりお見舞い申し上げます。
西宮は、空をお届けしたいくらい秋らしいさわやかな晴天でした。

さて、わらしべ定例会の参加者は11名。
合評予定は二作品、当日提出の速読合評が一作品です。
一つ目の作品は、伝えたいことありきの作品でした。
しかし、伝えたいことは伝わっていたものの、小道具として使ったエピソードに
慎重に扱うべき要素がありました。また登場人物の心情が、大きな流れでは
わかるけれど、細かい部分で引っかかる所があるという指摘があり、
「丁寧な心情描写」の大切さを感じました。

二つ目の作品は、設定されたテーマ(キーワード)から書きおこされたものでした。
準主人公のキャラクターや、野菜を作り自炊する暮らしぶりがあざやかに描き出され、
文章も読みやすかったのですが、指摘されたのは、「この話は、誰に向けて書かれた
ものか?」という視点でした。主人公のキャラクターをしっかり描き、主人公の
動きによって話を作りあげていくほうがいいという意見もありました。
また、ストーリー展開に対して、大変面白い提案もありました。みなさんの
アドバイスを胸に頑張って書き直していきたいです。

三つ目の作品は、投稿を想定したもの。
伝わりにくい表現がある、などの指摘の他に、目標とする公募先向きの作品では
ないのでは? という意見もありました。これには作者もびっくりしつつ納得。
作品自体は良いものでも、公募先にあった「傾向」を考える必要があるのだと、
改めて考えました。

時間が余りましたので、会員おすすめの児童文学作品一作の朗読がありました。
会員はみんなもう大人ですから、ひとに本を読んでもらう機会はそうありません。
目で読む早さと違う速度、テリングでお話をあじわいながら、(絵がつく前提でも)
絵がなくても伝わることや、言葉の言い回し、聞き取りやすさ、声に出して
読まれたときのボリュームなどを頭の隅で考えました。物語というものは
(特に絵本や幼年ものは)、文字で「読む」だけでなく、「聞く」という形で
享受されます。これは、忘れてはいけない観点だと実感しました。
そして、朗読が終わったとき、ほっこりした空気の中、みなさんから拍手が
わきあがりました。
                             (福山万知)